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この空の青さは⑧

 (F.Ⅰ)
〇回想(午後のファミリ-レストラン)
   レストランの駐車場でバックで入れようとしてエンストで手間取る先輩。
先輩「ちょっとクラッチ減りすぎてんな。」
   すると突然キュキュッと音を鳴らしてそこに手際良く割り込む小型の外車。
   ブレ-キを踏みハッとする先輩。
   素早く降りてきて前を通る男女二人の小綺麗な学生風の若者四人。運転手に
先輩「おい君危ないじゃないか。それに失礼窮まりない。どこの大学生様かね。」
運転手「(足を止めて)なに?どこでもいいだろ。そんなポンコツグルマでノロ
 ノロ下手な運転されたんじゃこっちが迷惑だぜ。邪魔くさいんだよ。」
   と吐き捨ててさっさと行ってしまう。
   怒りを押し殺す様に苦笑いする先輩。
   クスクス笑い合う他の三人。
                               (O・L)
〇同・列車内
   缶コ-ヒ-の口を開けて、流れる景色を見ながらゆっくり飲み始める青年。
                                (O・L)
〇回想(つづき)
   窓際のテ-ブルでデザ-トを頬張り談笑している先程の四人と、そのすぐ隣
のテ-ブルに着く先輩と二人。
   先輩と先程の男が対面するかたち。
   座るや否や青年に向かって大声で
先輩「そうかっ。彼女ってそんなに奇麗か。大恋愛とは珍しいなあ。そうかっ!」
隣の席の男が思わずこちらの方を見る。
   ニッコリそう言うとコ-ヒ-を三つ注文して、今度は友人に
先輩「しかしどのくらい奇麗なんだ。えっ?」
   ピンと来たように
友人「そりゃあもう、特別というものですね。比べる物がちょっと無いですよ。」
先輩「この中にも居ないか。え?・・・。」
   更にピンと来た友人、思い切って席を立ち、キョロキョロと一回りして、
   最後に隣を見てから席に着き
友人「ぜ-んぜんっ。全滅。もうお見事に。何と言っても種類が違いますから。」
先輩「まそりゃそうだろな。ご苦労ご苦労」
   こちらを向いて黙って不機嫌そうになる四人。
〇同・列車内
思い出して、思わずコ-ヒ-を噴き出
   しそうになる青年。
   流れる車窓の緑の風景。
   トンネルに入って黒くなる。
                              (O・L)
〇回想(つづき)
先輩「それにしても俺は驚いてんだ本当に。今時そんな恋愛ばなしを聞けるなんて
思ってもみなかったよ。世の中捨てたもんじゃないんだなあ。本物を見る思いだ。
 嬉しいよ。せいぜい頑張ってくれたまえ。」
友人「そう、本物なんですよ彼。彼女も。」
先輩「それは頼もしい。本当に頑張れよ。」
青年「頑張るって感じじゃないんだけどなあ。ごく自然の成り行きなんですよ本当に。」
先輩「それは素晴らしい。よくもまあ、この軽薄な世の中に毒されずにいられたもんだ。 
 ひょっとしたら、チョットばかり、世の中変わって来たかな。・・・それもそうだよ
 な。限界にきてるんだこのアヤフヤナ時代もな。そろそろ違った人種が出て来てもい
 い頃なんだ。・・そうだ。そうでなくっちゃ。もうとっくに二十一世紀なんだし。
 そろそ ろ希望の光が見えなきゃおかしいんだ」
友人「希望ありですよ。だって、どういうものかは今一わかんないんだけど、先輩の言
 う日本的な自我の構造にしたって、日本的 恋愛にしたって、あくまでも後天的なも
  なんでしょ。それに例外だって有るって。・・・だから希望ありなんですよね。」
先輩「そのとおりだ。良い悪いは別にして、あらゆる日本的と言えるものはこれ全て後
 天的なものなんだ。なにもDNAとか遺伝子の問題じゃあないんだ。組み込まれてい
 るとしたら、それはつまりシステムにだ。・・さしずめ集団を統制するシステム・・
 その辺りにだ。例えば経営とか教育とかな・・。集団主義にしろ均一主義にしろ限界
 に来てるんだ。じつは、みんな気付き始めてる。今やそれが正論になりつつもある。
 つまりしたがって、希望ありだっ。」
   真顔で聞き入っている二人。
   隣を含め周りを堂々と見渡して
先輩「それにしてもまあ、なんて見事に組み込まれ続けてっいてるんだろうかとは思う
 訳だけどなあ。いったい若者達は何をやってるんだ。これだけアメリカナイズされ
 切ってるってえのに、肝心なとこがそうなってないんじゃあ。マッカ-サ-も中途
 半端なことをやってくれたもんだぜ。個人主義教育を導入しないで従順な個人を温
 存しちゃって、本物の個人主義が根付いていない。本物もいるんだろうけど、大概
 はどっかの淵っこか、さもなきゃ水面下に沈んじまってるのが落ちだ。・・居る筈な
 んだ。・・・どっかにッッ!」
   と言って強くドンとテ-ブルを叩く。
   大きな音がして、一瞬こちら歩向き、静まり返る周り。  
   それを補う様におどけた感じで
友人「(手を挙げて)は-い。ここに居ます。約二名。いや三名じゃないですか。」
先輩「(おどけ返す様にして)ん。・・何処に、え・・あ、ああ、そうそう、灯台元
 暗しだった。わるいわるい。」
   ニッコリする友人と笑う青年。
先輩「たしかに君達は有望だ。しかし本物を名乗るにはチト早いぞよ。かく言うこの
 俺だって、未だ修業中の身なんだから。・・・しかしだ。居る所には居てもらわん
 と困るんだ。本当に出来上がった本物だぜ。本物の自我の持ち主の事だ。」
友人と青年「本物の自我。・・・。」
   無言で強く微笑む先輩。
   静かなまま席を立つ隣の四人組。
                                (O・L)
〇同・列車内
   トンネルを抜けて明るくなる車窓。
   遠くを見つめる青年。
   暫くしてまたトンネルに入る。
                                 (O・L)
〇回想(つづき)
   さらに続いている三人のディスカッション。
友人「日本的自我はつまり本物の自我じゃあないっていうふうに聞こえるんですけど。
 その辺どうなんですか。シビアですね。」
先輩「ハハハ、そう聞こえるかい。じゃあ、自我ってなんだ。考えてみたまえ・・」
友人「・・・それなんですよ。このまえ辞書で引いたんだけどイマイチ解んなくって。
 たしか、意識の主体とかなんとかって・・。でも、自分とは何かって問題ですよね」
青年「人間にとって一番重要なものですね」
   と言いながら紙に『自我』という文字を大きく書いてみる。
先輩「そう、そのとおり。だが答えらんないだろ簡単に。だいたい誰も教えてくれてな
 いからな。つまりそこが問題なのさ。戦後日本教育の最大の忘れ物がこれなんだ。」
友人「クエ-ッ、こりゃまた大袈裟な話だよ。」
青年「マッカ-サ-が忘れたんですかね。」
先輩「そうだよ。民主主義に一番重要なものを忘れやがった。奴は日本人の従順性を
 そのまま温存しようと思って、肝心な所を訴そのままにしたんだ。自立しすぎても
 困るんだよ。だから、自我という概念自体が曖昧なままなんだ。本物の自我が遠い
 所に有っても当然のことだろう。曖昧な自我こそがつまり日本的自我なのさ。武士道
 とか、大和魂とか、筋金なくしちまった以上それに変わるものが必要なんだ…。
 義理、人情、恥の、三種の神器さえ見失ってしまってるっ。」
友人「日本の民主主義は貰いものなんだもんね所詮ってテレビで誰かが言ってました。」
先輩「本当さ。だから未だに根付きがわるい。個人主義って言葉さえ曖昧なままなんだ
 からなあ。大体、我儘って意味になっちまう。つまり個人ってものは我儘なものであ
 って 自由にしたらろくな事ないっていう、古い考え方が、未だに伝統的に息づいて
 るのさ。世の中にゃ。」
友人「いったい、いつからそうなんだろう・・・。」
先輩「ず-っとず-っと、大昔からよ。中国大陸から米と一緒に伝わった伝統なのさ」
友人「コメ。・・米ですか。・・・中国大陸か」
先輩「いわゆる、稲作文明ってやつの事だ」
青年「聞いたことある。日本文明の紀元だ。」
友人「なにそれ。知らね-ぞ。」
青年「稲作だよ。稲作。米、米、米作り。」
友人「だから、米がどうしたの・・え? 」
先輩「米を集団で作ってたんだ。・・集団主義さ…。早い話が・・まり、皆でコメ作
 ってるうちにそうなっちゃったってわけっ。」
友人「へ-え。・・・。」
先輩「とにかく、ソウイウコトなんだ…。」
友人「そこんとこ、もっと知りたい気が・・」
先輩「もういいっ。勘弁してくれっ。」
青年「中国は民主主義じゃないんだっけ」
先輩「だろ。・・とにかく自我という概念の捉え方が極めて非民主主義的だってえ
 事だ。だから本物の自我が何かも解んないままさ。封建主義や軍国主義が育てた
 過去の異物なんだよ。つまりそれは。それがなぜか未だに日本の根底に腐った
 肥しの様に残ってる。つまり、自我という概念を未だに抑える物としてしか捉えて
 ない。そうじゃあないんだよ本物の自我ってえ代物は。」
友人「きましたっ。本物の自我・・・」
先輩「本物の自我は、間違った流れに流されない為の、物事の本質を見失わない為の、
 アイテムだ。・・そう、アイテムっ。自立した個人の為の、基本的アイテムッ!」
友人「(身振りをまねして)アイテムっ!」
青年「(同じように)アイテムっ!」
先輩「本物の自由になくてはならんものでもあるな。我儘な自由とは訳が違う。
 本物の自由。本物の民手主義。本物の自我だっ。・・履き違えた自由にタガをはめ
 たって何の解決もないってことだよ。タガが緩んじゃオシマイだからな・・・。
 とにかく本物の自我を求めないといかんのだ。本物の・・自我だっ。」
友人「だから、つまり、どんな・・。」
先輩「それはつまり、・・・考えれば判る
    神妙に頷く二人。
青年「本物イコ-ル自然ですよ。自然の生き物は全て完璧な自我を持ってるんです。
  てると解るんですが、花でも虫でも鳥でも。存在感がやっぱり完璧なんです。」
   写し出される色々な花や生き物。
   花と対話するような青年の姿。
青年(声)「自然は当り前の様にそれを持ってる。」
先輩(声)「確かに奴らは完璧さ。自分の存在に何の疑いも持っちゃいないもんな。
 一つの生命体として完成してるんだよ。・・たぶん奴らは頭じゃなくて細胞で直接
 それを認識してるんだ。・・つまり、自分が何かってことをな。羨ましい限りさ。」
青年「自我って、つまり、オリジナリティのことでもあるんでしょう。」
先輩「驚いたなあ。ズバリ正解を言ってくれるじゃないの。エゴとかエゴイズムと一
緒にされちゃあ困るんだ。解るじゃないか。自分の価値を知ることそのものでもあ
る。他人や集団に惑わされない自分の価値だ。つまりそれが本物のオリジナリティ。」
青年「本物のオリジナリティー。」
先輩「そのとおり。世の中には同じ人間が二人居ないわけなんだけど、そオリジナリ
 ティを尊重して探究することが重要なんだ。・・今の教育に欠けてるのが多分これ
 だな」
友人「ピンポンピンポ-ンッ!」
先輩「オリジナリティの探究なくして人類の来など有りえないってえもんだからな」
友人「来た来た。益々でっかい話だぜ」
先輩「難しい話じゃないぞ。人類はすでに毎日それをやってるさ。それもごく自然
 にな。人間が生き物である以上それは極めて基本的な本能なんだ。だから、ちゃん
 とやってる訳さ。それが文明を動かしていると言っても過言ではない。オリジナリ
 ティの探究こそ人類の文化的本能なんだよ。」
青年「文化的本能・・・」
先輩「そうだよ。正に本能さ。これが人類を進歩させてきた生物的基本的本能なのさ。
 つまりだ。問題はその本能が純粋に本物として機能してるかどうかって事だな。
 オリジナリティの探究は、言い換えれば真実の探究でもあるんだからして。」
友人「核心に迫ってますよね・・・。」
先輩「真実の探究はつまり本物の探究でもるんだよ。本物が何かが曖昧では困るんだ。
 真実とか、本物とか、オリジナリティを求めるという行為だ。それは、そのままそ
 の国の文化的レベルに関る重要な問題なんだ。」
友人「その国の文化的レベル・・」
青年「本物のオリジナリティの探究ならやってますよ。自分の撮る写真が本物かどう
か何時もたえず考えてるんですから。」
先輩「どうだい、本物が撮れそうかい?」
青年「勿論っ。バリバリのオリジナリティ」
先輩「そうかっ。君は有望だよ充分に。」
青年「テ-マは存在なんです。存在。自然を見つめてると、どうしてもその存在感に
 圧倒されちゃって。羨ましくって。どうしてだろうって。先輩の言う本物の自我
 ってや つをちゃんと持ち合わせてるって事なんですよね。なんだか肖りたい気
持なんです。」
先輩「おおいに肖ろうじゃあないか。彼らには自我という概念も必要ない訳だが。」
友人「それはそうと、本物の自我の持主なんて、世界にも多くはないんじゃないかな。」
先輩「その国のパ-センテ-ジの問題さ。日本的っていうのは実は一つの形容詞なん
だ。つまり、これはなにも日本だけの問題じゃあない。」
友人「そういえば、先輩のあの本・・『日本人 に生まれて損か得か』ってやつ。・・
 俺あのタイトルが気になっちゃってしょうがないんですが。一体どうなんでしょう。」
先輩「ははは。今度貸してやってもいいんだけど、今日は特別に答を教えよう。」
   喜んで頷きあう二人。   
先輩「あの本にある答はこうだ。つまり・・・日本は、本物志向の強い個性でハッキ
 リとしたものを求めて生きようとする者にとって は損な国で、競争を好まず何より
 も安定を求めて生きようとする者には得な国だと。なんとなく気楽に生きるにはこん
 な気楽で得な国が他に有るだろうかとまで言ってる。・・・どう思うかね・・?」
友人「・・・本物志向の強い個性で、安定して、気楽に生きて行きたいんだけどなあ」
   噴き出してしまう青年。
先輩「ハハハハハ。なるほど。いいんだいいんだ。それでいいんだ。そういう若者が
 いっぱい居れば、それが何よりってもんだ。ハハハ、ハハハハハハハ。」
   つられたように大笑いする二人。
   笑いがおさまったところで
友人「しかしやっぱり、本物って、少ないんでしょうか。どうしてでしょうねえ。」
先輩「そりゃあ長年の集団主義、安定主義の代償さ。集団の安泰のためには、個人や
 物事の本質なんか二の次三の次って事になるんだから・・。本当の社会、自由主義、
 民主主義、資本主義の社会ってえのは、そんなもんじゃないんだよ。貰いもんの
 洋服着て、真似事やってれば良い時代は、それでも済んだんだろうが。今はそ
 ういう時代じゃないんだから。世界はとっくに日本を完全な大人とし見てるのさ。
 だから本物の自我ってものを考えるべきなんだ。今こそ。」
友人「今こそ。」
先輩「ああ、そうだとも。政治においても経済においても、日本的なものが限界に来て
 るっていう事はもう判ったことなんだし。曖昧という美徳を盾にしてナアナアの馴れ
 合いをやってるうちに足下をすくわれるってえ寸法さ。」
友人「馴れ合いやってるうちに偽物だらけになっちゃったりして。」
先輩「なっちゃてるよ。本当に。あっちもこっちも、とっくに偽物だらけさ。」
友人「本当ですか?それはマズイじゃないですか。なんでそうなるの?」
先輩「偽物の敵は何だと思う?」
友人「・・・神・・とか?」
先輩「いいや。偽物だって普段から神を味方につけてるからね。神なんてのは、所詮
 頼り無いものさ。ホトボリが覚めた頃に天罰を当てるのがオチだったりするからね。
 無闇に頼りにしないほうがいいと思うよ。来世で報われてもありがたくない。」
友人「クールな先輩。」
先輩「偽物の敵、それは本物だよ。だから偽物は本物をこの世から追いやることに必
 死なんだ。本物は少ないんだから、多勢に無勢、孤軍奮闘空しく水面下ってわけ。
偽物を育んで本物が育ち難い土壌があるんだよ。今のこの国には、きっと。」
青年「本物って、なんだか頼り無いですね。自然も直ぐに汚されちゃいますからね。」
先輩「そうかもしれんな。物事にはすべて本質というものが有るんだ。それを曖昧に
 して二の次にしている以上、いい訳がない。楽な方へ流れちゃうのが人間の悪いと
 ろこでね・・。とにかく、居るべき所には居るべき者が居てもらわんと困るっ。」
青年「本物の自我の、本物志向の、本物がって事ですね。」
先輩「だけど居ないって訳じゃあないんだから。それに世の中の価値観だって変わりつ
 つある。そのうちアッチコッチでお目にかかれる日だって来るだろさ。それが希望
ってもんじゃないか。なあッ。そうだろ・・?」 
   思いきり頷く二人と強く微笑む先輩。
                                 (O・L)
〇同・列車内
   トンネルを抜けて明るくなる車窓。
   眩しそうな目で遠くを見る青年。     
   日本アルプスの峰々が間近に迫る。 
   出してあった一冊のカメラ雑誌を手に取りペ-ジを捲る青年。      
   それは以前に購入した物で、写真家『木原和人』の特集記事。     
   愛車の横に立つ彼の雄姿と作品写真。
   プロの中のプロ・一匹狼『木原和人』という見出しが目立っている。
   再び遠くに眼をやる青年。             
                                 (O・L)
〇回想(つづき)
   更に話し込んでいる三人
先輩「ところで君が憧れてる写真家、木原和人って言ったよな。新進気鋭の。」
青年「そう。そうです。」
先輩「たしかにイイ線いってるよな。本物っていう意味で。行けてる行けてる。」
青年「先輩…知ってるんですかッ?!」
先輩「君が本物だって言うからさ、ちょっと調べてみたんだよ。カメラ雑誌のバック
 ナンバ-とか、取り寄せたりしてね。」
青年「へえぇ-。」
友人「さすが-っ。」
青年「いいでしょ。まず写真がさあ。」
先輩「ああ確かに。写真もイイ線いってる」
友人「先輩、写真わかるんですか-?」
先輩「写真は見れば判るものさ。それに彼の写真家としての位置を分析したまでよ」
友人「やっぱ、さ-すが-。」
青年「新しいんですよ。コンセプトが。」 
先輩「絵としての完成度を追求してるんだよな彼は。そこが正に新しい。俺が思うに
 は・・そこなんだよな。彼が一匹狼たる由縁はだ。完成度を求めるなんて公言して。 
 よっぽどの者だ。そんなハッキリしたこと言わない方が得なんだからさ。誰もつい
 てこれないさ。弟子だって取ってないけど。そりゃあ評論家と口論にもなるわさ。」
青年「先輩、あの対談の記事、見たんですね。」
先輩「ああ。面白かったよ。どこの写真家団体にも所属してなかったり、自己主張が
 強くて、ハッキリした評価を求めちゃったり、そりゃあ、ぶつかるさ。」
   激しく主張する木原の表情の数々。
先輩「彼は要するに、誰もが目を瞑るような真実に目を向ける勇気の有る人間なんだ。
 物事の本質に真向から立ち会ってるよ。」
青年「…本物なんですよね。」
   無言で微笑み、頷く先輩。
                                (F.O)
 (F.Ⅰ)
〇同・列車         
   ますます近づくアルプスの山々。
   緑の中を駆け抜けて行く列車の姿。
※(挿入歌『くぐりぬけた花水木』が流れはじめる。
                                                    
〇信州乗鞍高原(六月中旬)
   レンゲツツジが咲き乱れる高原。     
   点在する笑顔のハイカ-達。
   その中を散策して歩くカメラマン姿の青年。
   三脚を立てたりして撮影する。
   小さな草花にカメラを向ける青年。
   さまざまな初夏の高原の自然風景。
   満開の野生の白いスモモの林を潜り抜ける。
  そして小さな湖のほとりを行く。
  
 ・その花の道を来る人の       ・なぜか君のことを
 ・明るい顔の不思議さに      ・なぜか君のことを考えてます
・くぐりぬけてみる花水木      ・その鮮やかさは何もかも
・何処とあてもない旅先で      ・捨て去ってきたこの僕の
 ・そぞろ歩きの空と道        ・旅を見くだす花水木
 ・囲みつくした花水木        ・敷きつめた花のやさしさに
 ・なぜか君のことを        ・こんな場所なら君を今
 ・なぜか君のことを考えてます    ・すぐにでも呼びたい花水木
 ・あれほど疲れていた僕が      ・なぜか君のことを
 ・何か夢でも見たような       ・なぜか君のことを考えてます
  ・まどろむ光の花水木        ・その花の道を来る人の
 ・立ちすくむ人の心には       ・明るい顔の不思議さに
 ・押し花にした思い出が      ・くぐりぬけてみた花水木
 ・よみがえり咲くか花水木   
                      
                                        (O・L)
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