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この空の青さは⑩

   前を通るカップルの一組が隣のベンチに腰を下ろして弁当を食べ始める。
   何気なくそれを見つめる青年。
   眼が合ってしまい、すぐに前を向きリラックスするように足を組んで、
  目立たない様にチラリと時計を見る。
   時計の時刻・12時55分。
青年「頼むぜ……」
                         (O・L)
   (太鼓のような大きな心臓の鼓動音がゆっくり、ドクン、ドクン、ドクン、
   ドクン、と響き始める)
   時計の時刻・1時00分。
                         (O・L)
   時計の時刻・1時10分。
                         (O・L)
青年「頼むって……。」   
                         (O・L)
   時計の時刻・1時20分
                         (WIPE)
〇回想(学食の三人)
   先輩が正面に座って眩しいような目で青年を見つめている。
先輩「楽しみだな、今度の日曜日。」
青年「(屈託なく微笑んで)はいっ。」
   つられるように微笑みながら
先輩「彼女を信じてるんだな。」
   そのまま黙って頷く青年。
先輩「君は特別だよ。全くもって。」
友人「そう。本当に。まったくもって。」
   あきれたように大袈裟に頷く青年。
先輩「君はもう解ってるんだよな・・」
青年「(キョトンとして)え、何が・・」
先輩「いや、解ってる。解ってる筈さ。いいんだよ。それで。」
青年「すいません。ちょっとよく・・」
先輩「つまり、君の・・使命さ。」
友人「使命。・・そうだっ。使命だよ。使命。」
   と言って青年の顔を見つめ直す。
青年「(惚けたような顔をして)・・・?」
友人「そういえば、この前、言ってたじゃないか。何か、使命のようなものを感じるっ
 て。お前、言ってたよ、自分でさあ。」
青年「そうだっけ・・」
友人「先輩、そうなんですよ。本当なんです。何かでっかい、大きな使命かもって」
青年「かもってね。そう。かもって言った。かもしれないって言ったんだ。」
先輩「充分だ。それで充分だよ。君が今やってること。つまり、それは、・・いいか、
 つまり、それは、・・・神からの使命だっ。」
   一瞬静粛になる一同
友人「(大声で)出たーっ!」
先輩「出たさ。他の誰でもない、彼が一番よく解っていることの筈なんだけどね。」
   と言っw青年の顔を見る。
   真顔で見つめ返す青年。
先輩「君は自然写真をやってるだろ。それでよく自然自然って言ってるじゃないか。
 つまり、君は知らないうちに神に近づいてしまったんだよ。そう、神のすぐ側に。」
友人「神様、自然様、彼女様って・・」
青年「ああ・・たしかに。俺の場合、神様イコール自然だから。自然の元締めってい
 うか なんていうか、神とは、つまり、そういうもので・・」
先輩「少なくとも、君は自然であろうとしている。その自然の意味を知ろうとしてる。
 つまりそれが神の意志を知る事なんだよ。君はもう感じている筈だ。神の視線を」
友人「神の視線・・究極的だな、なんかこれはもう・・」
先輩「ああ。いつもね。それが使命の証だ。神は君のすぐ側に居る。知ってる筈だ」
青年「(先輩をじっと見つめ)・・・。すみません。僕は、たぶん無神論者かもしれ
 ないんですよ。未だ結論は出ていませんが。神は自然の象徴っていうか何ていうか。
 この世の中には自然の摂理というものがあって・・つまり・・それが全てっていう
 事で・・つまり、全ては自然か不自然か、っていうか、何ていうか・・」
先輩「分かった。もういい。とにかく君は特別だよ。つまり、本物って意味でね。
 自然であるって意味だよ。もしかしたら、彼女もな・・・。」
   笑ってウンウン頷く青年。
友人「先輩は無神論者だと思ってた・・」
先輩「そうだ。と、言いたいところだが・・そう言ってしまうには抵抗があってね。
 そのうちに言いたいと思ってる。神とは何か・・それは人類にとって究極の質問
 なんだからして。・・そう簡単には答えられるもんじゃあないよ。ははは・・。
 とりあえず、解り易いように神という言葉を使ったまでのことだ。ゴメン。」」
友人「答えが出たら教えて下さいね・・先輩。」
   笑って頷いた後、急に真顔になって
先輩「こりゃあひょっとしたら世の中が変わる瞬間が見えるかもしれんな、本当に。
 神様も、もう痺れ切れちゃったてことさっ。」
友人「そうですよ。そのとおりですよ。曖昧の壁がぶっ壊れる瞬間が見れますよ。」
先輩「確かに確かに。そうだそうだ。そういうことだ。曖昧の壁の崩壊だ。ペレスト
 ロイカだ。全てはそこから始まるんだよ。・・これは日本の夜明けだな、全くもって。
 曖昧をよしとしない新しい日本人の。・・とにかく、始まることを祈ってるよっ。」
   少し呆れたような笑顔を見せて
青年「本当に相変わらず大袈裟ですねえ。」
友人「なんでもいいから、この目にいいもの 見せてくれってっ。」
                                (WIPE)
O植物園(ベンチの青年)           
   変わらずポツンとしている青年。
   時計の時刻・1時40分 
   彼女に纏わるこれまでの数々の映像が、極めて短い断片的なカットとして、
  鼓動音に合せて走馬灯のようにオ-バ-ラップで駆け巡る。
                                 (O・L) 
   青空からパンして捉えるベンチの青年。
   両腕を頭の後ろに回して無表情で天を仰いでいる。               す   すると、ベンチの前に突然現れる見知らぬ男。
   学生風だがやたらと体格がよく粗暴。
男「お前だな。」          
   座ったまま思わず目を丸くして
青年「えっ?・・・。」           
   急に目くじらをたてて大声で
男「お前かあ。、俺の女に手を出しとるのは。彼女なんか来やせんわっ。一生そこ
 に 座っとれっ。チンタラチンタラしゃらくせえ手紙なんか書きやがって。今時
 はやらねえ野郎だな。童貞だろ。どんなマヌケなか見に来てやったわ」
青年「サイアク・・・」
男「トロイ野郎だぜマッタク。ダセエってんだよ。二度と彼女に近づくなよ。いいなっ。
 彼女はとっくの昔に俺のものなんだよっ。なにが本物の恋愛だ。なにが本物の自我だ。
 訳の解らんことばっか言いやがって。日本的だの何だのと。お前はいったいナニ人な
 んだ。国賊か。ダセエ大学のくせしやがって。とにかくクダラネエんだよっ!。」
青年「なんだこれ。」
男「お前のやってる事はとにかくトロクセエッてんだよ。ハヤラネエノッ。笑っちゃう
 んだよ。誰が見てもな。・・ほれ、見てみろっ。」
   気がつくといつの間にかベンチを取り巻く大勢のカップルや家族連れ。  
   それぞれに青年を見て揃って嘲笑している。
   その様子がだんだん大袈裟になって、罵りと笑いの渦となる。
青年「まさかっ・・・」
                                  (O・L)
       
   元通り独りでポツンとしているベンチの青年。
   ほっとして苦笑いをする。
                                 (WIPE)
   
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