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この空の青さは⑪

〇喫茶店(店外)  
   ウインドウのガラス越しに見える、何やら懇談中の彼女とその友達。
〇喫茶店(店内)
   テ-ブルの様子から長話の跡が判る。
友達「ヒロコ、それで結局どうするのよ。日曜日。」
彼女「・・・だから・・行かない。・・行けない。」
友達「そ-ね。行けないわよね。それね。だけど、本当に終わってもいいのね。」
彼女「(力無い表情で頷き)・・・。」
友達「私だったらって考えたんだけど。やっぱり行けっこないわっ。ははははっ」
   と、自虐的に笑ってしまう。
彼女「(少しふくれて)・・・。」
友達「ごめんごめん。つい、なんだか。さっきまで真剣に盛り上がって、ドキドキも
 んで悩んじゃってる二人が、急に可笑しくなっちゃって・・なんなんだろう。」
彼女「ほんと。そうね。なんなんだろう。」
   ほっとした感じで微笑みあう二人。
友達「ついさっきまで、ヒロコったら、もうドウシヨウカナ、ドウシヨウカナって。
 ほんとにドキドキ、ドキドキって・・。」
   胸に手をあてたポ-ズをしてからかう。
彼女「あなただってなによ。さんざん盛り上げておいてさあ。どおするの、どおする
 のって。とうとう年貢の納め時って。二度とない出会いかもしれないって。素晴ら
 しいことよって。これがきっと本物の恋愛の始まりなのよって。」
友達「・・・本物の恋愛って。確かに言ったわよね。なんなんだろう。言った言った。
 さっきはそう思ったのよね。本当に。でも、さっきはさっき。今は今。現実よ。」
彼女「あの人って。つまり現実離れ・・・。」
友達「そうね。少なくても今風じゃあない。」
   思わず笑いあうが、しだいに神妙になり
彼女「今風って。・・・。」
   窓の外に何気なく目を向ける彼女。
   通り過ぎる複数の今風のカップル。
友達「そういえばさあ、あいつ、どうなってんの。早稲田の。しつこかったけど。
 プロレス愛好会とかの。あいつ、あいつっ。」
彼女「ああ、あの人。ああ。ほーんと、しつこかったわ。もうまいっちゃったほんと」
友達「今風っちゃ今風だけどやっぱダメか」
彼女「もう、ぜーんぜんっ」
友達「早稲田よだけど・・。」       
彼女「そこが売りね。だけど違うのよ。違うの・・違うのよね・・・。」
友達「あなた、やっぱりあの彼がお似合いなのよ。何処の大学か分からないけど、
 そんなの関係ないって言ってたじゃない。凄いインスピレーションだったわよ。
 あんな感じ二度とないって・・。またあそこのバイトで会えるかもって・・。」
彼女「(感慨深げに)そうだったわね・・・。」
友達「その前に会えたわけだけど・・どうするのよ・・ほんとうに・・。」
彼女「どうしたらいい?・・分からないの・・ほんとのところ。」
友達「重たいわよね。私だったら耐えられないわ。やっぱり。なんでこんなことに
 なっちゃったんだろ・・。」
彼女「あの人、私の全てが分かるんだって・・。付き合いもしないでそんなこと。」
友達「見方によってはストーカーだからね。」
彼女「それはちょっと違うと思うけど・・。」
友達「ストーカーって、断わっても付きまとう人のことだからね。あなた、はっきり
 断わったわけじゃないし、彼はあなたの気持を知りたいのよきっと。本当の気持。」
彼女「本当の気持・・。そりゃあ・・。」
友達「だったら、付き合ってみればいいんじゃないの。」
彼女「そうなんだけど・・。あんなこと言われて・・。困っちゃう。」
友達「インスピレーションでしょ。・・それにしてもメルヘンすぎるわね・・。
 だけと、良く言えばロマンチストよ。彼なりの口説き文句なのよ。」
彼女「重たい口説き文句ね・・。」
友達「そうよね・・。あなたのこと本当に好きで何とかしたいんだったら・・
 もっと違うアプローチもある筈よ・・。あなたに荷物を背負わせなくても・・。」
彼女「頑張ってるのは分かるんだけど・・。」
友達「はっきり言って、頼りないのよ。ヒロコにはもっと強い男がいいのかも。」
彼女「強い男って・・。」
   そう言って、何気なく外を向き、青空を黙って見詰める。
   彼女の顔に重なって外の窓ガラスに映る都会の四角い青い空。
                                (O.L)
〇回想
   「愛がこわれそう」のインストルメンタルが流れ、これまでの二人のエピソード
   が彼女の目線によって(O.L)の連続で端的に描かれる。

 〇バイト帰りのシーン
  青年「どうもっ。今お帰りですか?」  
  彼女「びっくりしたわ。」
  青年「今お帰りですか?」
  彼女「ええ。」
  青年「職場、変わったんですね。」
  彼女「ええ、本店の方・・」
  青年「急に居なくなっちゃったものだから、もう会えないかと思った。」
  彼女「・・・」
  青年「クリスマスはどんな予定なのかな・・。」
  彼女「とくに何も無いわ・・。」
  青年「へえー。それは平和なんだね。なんか安心した・・。」
  彼女「家族そろってケーキ食べて・・それだけ・・。」
  青年「僕も同じだよ。平和だろ。それがいいよね。」
  彼女「私が美味しいケーキを買って行く役目なの。特別の奮発して。」
  青年「それはいい。その為にバイトしたんだね。」
  彼女「うふふふっ。そうかもしれない。ふふふっ。」
  青年「あのっ。今、少し時間ありますかねぇ・・。」
  彼女「・・なんでしょうか・・・。」
  青年「いや、・・もう少し話がしたいんです。」
  彼女「・・・・。」
  青年「君のことがもっと知りたいんです。・・僕のことも。」
  彼女「・・・・。」
  青年「喫茶店がそこにあるんだけど・・。」
  彼女「あの・・時間が・・。」
  青年「えっ?・・。」
  彼女「・・・・。」
  青年「そう・・。時間が・・。残念だね・・。そう・・。」
  彼女「・・・・」
  青年「何かが始まるような気がしたんだけど。勘違いだったりして・・ははは。」
  彼女「・・・。」
  青年「ごめんなさい。・・すいませんでしたっ。」

 〇地下鉄通路のシーン
  青年「ごめんなさい、驚かせちゃって。」
  彼女「・・・」
  青年「勘違いなんかじゃないんです。これ、とにかく読んでください。
  彼女「はい。」

 〇彼女の部屋(青年の手紙のアップとスズランのポジ写真)
  青年の声「君は分かるだろうか・・(詩の一文)」
  青年の声「とにかく来て下さいね。何かが始まる気がするんです。」
  青年の声「2時を過ぎたら諦めます。僕の勘違いだったということです。
   僕は信じていますが、潔い男なんです。これ以上迷惑はおかけしません。」
                                  (O.L)
〇喫茶店(店内)
   空を見詰めている彼女とその横顔を見ている友達。
友達「何を考えてるの?・・。」
彼女「・・・強い男って・・・」
友達「彼じゃないわね。」
彼女「・・・。」
友達「またあるわよ、インスピレーション。きっとこれから。」
彼女「・・・。」
友達「丁重なお断りの返事を出さないといけないわよ。未だ間に合うから。」
彼女「そうよね・・・。」
 あなた、それか、日曜日に行って丁寧にお断りするか・・ね。」
彼女「そんなこと余計に出来ないよ。」
友達「そうね・・。やっぱり、そんな義務ないわよね。」
彼女「・・・。」
友人「それにしても悩ましいことね。どうしてなんだろ・・。」
彼女「・・・。」
                               (WIPE)
〇植物園・ベンチの青年
   元通りポツンと一人ベンチの青年。
   ほっとして腕時計を見る。
   時計の時刻・二時三十分。
              (O・L)
  (鼓動音と、それに加えて、ゆっくりとした呼吸音が大きな音で流れ始める)
   先輩の語る悲観論が時計の文字盤の上によみがえる。
先輩(声)「一言で言えば…なんとなく好きだから、なんとなく付き合ってる。これ
 が即ち現代の日本的恋愛のその基本形だ。だが問題なのは、相手のことを本気で好
 きになった時だ。そのことを知られたり言ったりしたら、その時こそがその恋愛も
 最大のピンチの時になるんだからな。本気で好きになったら腰抜けになっちまう。
 適度に好きな相手こそ理想なんだ。・・・それから、お互いが本気に好き同士だ
 っていうインスピレ-ションをハッキリと確認し合って、それで始まる恋愛など
 まず有り得ない。そんなアプロ-チはまずしないことだな。付き合いたかったら。
 嬉しいだけで何にもならん。」
友人(声)「・・・なんで。どうしてっ・・・?」
青年(声)「やっぱり、自我の問題だ。」
先輩(声)「とにかく、高望みはしないことだな。本物の恋愛なんて今時あり得ない
 から。少なくともキャンパスライフにおいて。ぜったいにない。」
友人(声)「「本物の恋愛。・・。」
先輩「君が今、彼女のことで苦労してるのは当然なんだ。なんとなくという一線を超
 えちまった以上な。・・・成り行きなんだろうが、お気の毒っ。」                   
              (O・L)
 時計の時刻・二時四十分。   
              (O・L)
   時計の時刻・三時五十分。
              (O・L)
   時計の時刻・三時五十分。
   (鼓動と呼吸の音、止まる)
              (O・L)
   噴水の周りの色々な賑わいや通り過ぎるカップル等のスロ-モ-ション。 
   それを前屈みの姿勢で虚ろに眺める青年。そして一度うなだれる。
   顔を上げるとおもむろに正面を向き 
青年「(力無く)どうなってるの・・・。」
   ズ-ムアウトで小さくなるその姿。   
 ※(挿入歌『淋しさ』が流れる)
   さらに賑わいを増した様な周り。
   力無くゆっくりと立ち上がる青年。
   そして虚しそうに歩き出す。  
   やけに目につくカップルたち。
   賑わう中を行く孤独な青年の後ろ姿。

 ・あてのない手紙かいたら     ・淋しさはまたよせてくる
  ・部屋じゅうが淋しさだらけ   ・海の中の淋しさをひきずって
  ・部屋の中の淋しさをひきずって ・空をながめた
  ・街へ出てみた         ・海鳥の羽根にのせたら
  ・人ごみを通り抜けても     ・淋しさは空を舞いとぶ
  ・淋しさはまだついてくる    ・空の中の淋しさはあてもなく
  ・街の中の淋しさをひきずって   ・急にいとしく   
  ・海へ出てみた         ・今ここに君がいたとしても
  ・引潮にのせてすてても     ・僕の淋しさはきえようもない


ズ-ムアウトして小さくなると、手前に現れる女性の人影。
緑の梢が突然風に揺れてざわめく(BGM消える)
立ち止まる若い女性の足元。
白い洋服に身を包んだ彼女の姿。小さなスズランのブロ-チが胸に。
聡明な顔つきで前を見つめている。
突然そよ風が吹き彼女の髪をゆらす。
まるで何かに押されたように、つんのめってから歩き出す彼女(音もどる)
肩を落として歩く青年の正面像。     
その肩越しにとらえる彼女の姿。
彼女の肩越しにとらえる青年の姿。
それがアップになって暫くすると、何気なく振り向く青年。
コマオトシ。そしてストップ。

エンディングテーマ 「裸の自我」が流れる
        
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