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小説・この空の青さは-1

 信州の春は比較的おそい。少し標高のあるここ戸隠は五月に入ってやっと春らしくなる。木々の緑はどれもがまだ若く、芽を閉じたままのものさえ少なくない。遅咲きの花があるように、遅咲きの緑があるようだ。しかし、どの梢も穏やかな春の陽を浴びて、希望に満ちた新しい季節の到来iに歓びを隠しきれないことにその違いはない。

 それにしても今日のこの春の空の青さはどうだ。「青春」という言葉は、人生において確かにこんな日のことを指しているのだろう。 ひらいて間もない若葉がそうであるように、未だ汚れを知らない若者たちは、それゆえにこそ皆一様にこのときいちばん美しく光り輝く。自らの中に持ち合わせた「自然」というD・N・Aの名のもとにおいて。
人は、かつて自分自身が「自然」であったという記憶をいつの間にか喪失し、周りや自らの中に生じた「不自然」に覆いつくされて行く。そして若者は、純粋であるほどにその青春の旅を彷徨う。だが、すぐ傍らの「自然」を見失うことがないかぎり、その道は決して暗いものではない。容易く濁ることのない己自身が内から放つ光をもって。
 
 人の営みにおいて最も自然でなければならないもの。それは他でもない「恋愛」である。それが自然というものから遠ざかれば遠ざかるほどに人の未来は危ういものとなるからだ。 人が自然であるということとはどういうことなのだろう。まずもっては恋愛において。 若者は、その時、初めての人としての試練に直面する。そして挫折し、堕落していく。その真の価値を知って、立ち止まり、安易に諦めることなく克服するに至る者は決して多くはない。そして今、最初の試練を正に目の前にして、輝く季節の中で佇む一人の青年がここにいた。

 「戸隠森林植物公園」そう書かれた簡素なバス停に真壱が降り立ったのはつい先程のことだった。しかしその姿を捜すのには少しばかり困難を要するかもしれない。
 このところの自然ブームですっかり有名になったこの自然公園を訪れる観光客は、年毎にその数を増し、水芭蕉が見頃となり始めるゴールデンウィークには大変な混雑となる。関東や関西ナンバーの大型観光バスが駐車場に居並ぶ姿もすっかり珍しいものではくなった。だが、最後の休日の次の日には、嘘のような静寂が戻ってくるものだ。そして暫くすると満開の時期になり、それが即ち今日である。では、なぜ捜すのが困難なのか。
「よしっ。いいぞ。すごい。そのまま。もうすこし。じっとして。たのむから」 
 カメラのファインダーに右目をぴったりと押しつけたまま、真壱は被写体に向かって声帯を使わない声で囁くようにそう呟いた。
「カシーッ。カシーッ」
 静かな林に響き渡るようなワインダーによる心地よい連続シャッター音は二回で止まった。不用意に被写体が動いたからだ。そよ風がその体を揺さぶったのだ。
「やったー。かもね。よしもう一回」
 そう囁いた後は暫く沈黙が続いた。そして真壱はやっとファインダーから目を離し、難しい体勢のまま太陽の方を見上げた。
「だめだこりゃあ」
 今度は声に出してそう呟いた。そして、撮影の体勢を崩してフーッと溜息をつき被写体の前に座りこんだ。シェードの役目をしていた薄雲が太陽から離れてしまったからだ。
 彼のすぐ前には、薄紅色をした小さなカタクリの花が三つ並んで咲いていた。この花は水芭蕉に隠れたここのもう一つの名物で、まだ緑の無い藪の中で結構な群生を成している。近寄ってよく見れば見るほどに可憐な野生の花だ。そしてそれが彼の今日いちばんの被写体に他ならなかった。
 この自然公園の植物は全てが自然のまま保護されていて、基本的に遊歩道以外はほとんどが立入禁止だが、それほど窮屈なことでもなく、うまい具合に路が張り巡らされている。 背丈十五センチほどのこの被写体にマクロレンズで取り組む慎一の姿は、元々大きくないまでも、まるで同じ大きさのように小さくなっていて、すぐ側を誰かが通りかかっても気づかないほどだ。それにしても、小さな花との対話は静かなほうがいい。遊歩道からちょっと外れた良い場所を見つける事が、ひとつには彼の得意とするところなのでもあった。
「よーし、来た来た。いくぞ。そのままじっとして」
 太陽にまた薄雲が掛った。そしてまた小さな花との対話がまた始まる。腹這いになって、地面に直接置いた一眼レフカメラのファインダーに右目を押しつけて、レリーズに親指をかけ、被写体に優しく注文をつけるのだった。
 アングルファインダーを装着して上から覗くより、この方が気持が伝わるということだ。
「カシーッ。カシーッ。カシーッ」
 野鳥の声に混じって軽やかなシャッター音が早春の森にこだまする。それこそは、真壱と小さな自然との間での束の間のコミュニケーションが成立した、その証に他ならなかった。そして、たしかに、少なくともその瞬間において、彼は「自然」になっていた。
 間違いなくこれはそのせいなのだが、その時、正にその時、真壱の心のその一番真ん中の部分から、ある熱い感情が込み上げてきた。そしてそれは音にならない声になった。
「彼女に会いに行こう。・・そして今度こそっ」
 もともと顔立ちの整ったほうの彼であるのだが、この時はほんとうに良い顔になった。真っ直ぐな心。真っ直ぐな眼。疑いや戸惑いというものが意味もなく消え去っていたのだ。
「明日はあの水曜日だ。早く帰らなきゃ」
 どうしても落とせない単位もあってまずはキャンパス、そして何よりも、彼にはどうしても行かなければならない或る場所があった。はやる気持ちがカメラを扱う手際の良さを手伝っていた。仕種のすべてがスムースだった。濁りのない若い血液がサラサラと流れ、要所要所で理想的な力で供給が行きわたる。そして速やかにその場を離れ、次の撮影場所へとその身を移した。

 この日、水芭蕉は満開だった。正確には八分咲きとうところだろうか。群生の中の古い花が目立つことのないこの頃が写真にするにはちょうど良い時期なのだ。
 真壱が手にするカメラには広角系のズームレンズが装着されていた。目的はカタクリだけではなかったのだ。この白い森の妖精たちの春の宴を風景として捉えようと、細い木道を散策するその姿はカメラマンそのものだった。レンズの詰った背中のザックと肩に掛けた三脚がすっかり馴染んだ風情である。とはいえ服装は全くの軽装で、トレーナーとジーパン、その上に春物のジャンパーを羽織るという、いつもの彼のキャンパスウェアーだ。足元のトレッキングシューズと腰のウエストポーチが機能的に加わっただけである。気候的にも地形的にも充分な訳だが、普段っぽさが特徴的だ。もちろん雨具は携帯している。 TPOの対象は人ではなく、あくまでも「自然」であって、人にどう見えるかとうことなどはどうでもいいことだった。しかし、つい先程すれ違った老夫婦らしき観光客の、背中越しの「あのひときっとプロね」という言葉には、振り向かないまま、おもいっきりニッコリとしてしまう彼なのでもあった。

 学業そっちのけで、日帰りとはいえ、休み明けの平日にこんな所まで来て、自然写真に没頭している彼としては、プロという言葉の響きはたしかに特別なものだった。四年になるところを図らずも留年してしまい、二度目の三年の春を迎えることとなったのも、少なからずそのせいだった。プロという概念は確かに彼の中で膨らんでいた。しかしそれは、いうならば遙か彼方に飛ばす夢の風船のようなものでしかない。そしてそれは、間違いなく随分大きく膨らんでいた。だが、その風船の行き着く場所は、今はだれも知る由もない。
 ひときわ見事なその花の群生の前で真壱はゆっくりとした歩みを止めた。そして、肩の荷を足元に下ろし、三脚の足を伸ばし始めた。「去年よりずっといい」    
 その場所は昨年の同じ頃、同じように足を止めて、同じように三脚を立てた場所だった。「今度こそバッチリだ」
 野花の開花のタイミングを掴むのは難しい。しかし、それ以上に写真のイメージを高めることに専念する彼の姿がそこにはあった。  雲台にカメラを取り付けて「さて」と思った時、横の方からの若い女性の声に気づいた。
「すみませーん」   
 カメラを覗いたりして花に夢中だった彼は、まったくもってその気配すら感じてなかったのかというと、そうでもない。正真正銘二十二歳の健康な独身の男である。いくら純情で、目の前の白い水芭蕉の花に見とれていたとはいえ、年頃の人間の女性が、それこそ花のような香りを漂わせて近づいて来るのに、気づかないほど鈍感でもない訳なのだった。
 その若い女性のハイカーは確かに或る種の香りを発散していた。先程からの遠巻きに青年に声をかけるタイミングを図る姿はどうだ。友達と二人してさんざんモジモジし合った挙句に、からかわれるように押し出された彼女。その雰囲気は特別だった。若葉のように輝いていた。春のせせらぎのように弾んでいた。そして密かに小さな花の蕾を綻ばせていた。振り向くと、それはどう見ても二十歳くらいの娘だった。可愛い子だな、と彼は思った。
「あの、これ、お願いします」
 爽やかな笑みを満面に湛えながら、そう言って銀色の可愛らしいカメラを差し出した。 そして視線が重なった。そのとき、彼女の何かが瞳を通して心の真ん中へと進入してきた。彼はそれを受けとめた。すると、それはまるで居場所を捜すようにしてぐるぐるとその中を巡り回った。
 じつは、真壱は、自分の心の真中に真空のような一つの空洞が有ることを知っていた。それが吸い寄せたものが何かということは分からなかった。だが、何かが確かに瞬時満たされそうな感触を味わったことは事実であった。それはまた、自分の中の空洞を改めて知らされた瞬間でもあった。視線が外れると、それはほんの数秒のことだった。
「ああっ。いいですよっ」
 と言って、真壱はさりげなくカメラを受け取った。見慣れないカメラであった。
「これって、どうするんだっけ」
 最近のコンパクトカメラは日毎進化していて、機種も多様で、真壱が戸惑うのも無理からぬことだった。小さなカメラの操作をめぐって二人の距離は密接だった。ときどき指先が触れあっていた。聞こえるほどに真空がキューッと音を鳴らした。  
「じゃあ行きますよっ」
 構図にさんざん苦心した末、小さなファインダーの中には二人の乙女が納まっていた。学生かな、と彼は思った。そこには確かに、二人の女性が、同じように真ん中に真空を抱えて佇んでいたそして。一人が輝いて見える。
  訳もないような愛しさが彼の心に漂った。真壱はなんでもないことだと思った。よくあることと、そうも思った。何故か、あの子の姿がそのとき浮かんだ。彼の心の空席は一つしか無く、空席は空席のままだった。訳もない空しさが込み上げてきた。空しさを押さえるようにシャッターを切ると、空しい音がした。
「どうもーっ」
 彼女は最高の笑顔を見せながら、青年に近づいて来た。そして手を差し出した。
「はいっ」
 と言って真壱はカメラを手渡した。
 その時だった。二人の手が不用意にぶつかってカメラが落ちそうになり、それを支えるために両手と両手が合わさるように触れあったのだ。「あっ」という声が重なった。
「すみませーん」と彼女。
 ほっとして、二人は微笑み合った。そして視線がまた交わった。なにか熱い空気が流れたと思ったら、ほんのりと彼女の頬が赤らんだように見えた。真壱の視線は、その彼女の顔と瞳をとらえて、釘付けのように微動だもしなかった。そのとき何かが強く吸い込まれるようにして迷いもなく心の中心へと進んで行った。
 彼女の頬は、まるで本当に赤らんだように見える。そして、今まさにその場所に届こうとした瞬間だった。
「あ、ありがとうございました」
 その声は小さくて引き攣っていた。はにかんだその表情は笑顔ではない。そう言いながら彼女は視線を断ち切って、ぺコリと小さく頭を下げた。そして、まるで何かから逃げるかのように真壱にくるりと背を向けた。
 友達を促して、そそくさと木道の歩みに戻ったとき、振り向いてまた一度ぺコリとお辞儀をしたが視線が合うことはもうありはしない。ただの他人の挨拶だ。
 真壱には何が起こったのか分からなかった。そこには、ただ、遠ざかって行く二人の若いハイカーの後ろ姿と、何もなかったかのように、静まり返る空気が残っているだけだった。 真壱はポツンと置き去りになった。心の中を風のようなものが通り抜けて空洞が「ヒュー」と音を鳴らした。     
「カッコーッ」と野鳥の声が妙に響いた。
 見上げると、春ののどかな青い空が、森の上には変わらずに広がっていた。
「よくあることさ」         
 しばらくすると、また、同じところからさっきの熱いものがまた込み上げて来た。そして癒された。
「ま、いいっかっ」
 見上げる空には、あの子の顔が、まるで白い雲のようにポッカリと浮かんでいた。

 古びれた木造のベンチに仰向けになると、空が天井になった。すこし薄めの青色の空に、白い大きな丸い綿雲が、一つ浮かんでいた。そしてそれはよく見ると、ゆっくりと、ほんとうにゆっくりと、右から左へと動いていた。
 真壱は暫くの間、それとはなく、その雲の動くさまをただなんとなく眺めていた。そこにあるのは、ゆったりとした、本当にゆったりとした時間そのものだった。
 萌え黄色の木立ちに囲まれたその単純な風景に浸っていると、自分がまるで自然の一部になっていくようだった。ときどき風が木々の枝先をゆすって音をたてた。鶯の囀る声が遠くに聞こえた。一度つがいの小鳥がチチチと横切った。
 さっきの雲がいつの間にか左の端の方になったころ、真壱は一瞬われにかえった。そして思った。
「これは別世界だ」と。
 
 身を起こしてみると、風景はいとも簡単に元に戻った。遠くの遊歩道を点々とハイカーが歩いているのが見えた。もう一度仰向けになってみた。すると、またいとも簡単に別世界が現れた。「いや、これもたしかに現実なんだ」と彼は思った。
 また、つがいがチチチと鳴きながら横切った。別の雲が右の方に現れていた。目を閉じてみた。すると、音の世界が広がった。風に乗って無数の生命の気配が飛び交う音だ。蜂の羽音も聞こえた。少し経って自分の呼吸の音に気づいた。心臓の音が聞こえる気がした。そして沈黙が広がった。孤独だった。心地いい孤独だ。
 真壱は、ときどき自然の中で、こんなふうにして、ひと時の孤独を味わうのが好きだった。「生きる意味」「生きる歓び」という言葉が彼の頭に浮かんでは直ぐ消えた。その意味を知るためのそれは一つの時間に違いなかった。小さな自然に接しているうちにその意味を何時の間にか考えるようになっていた。それは自分自身の「存在」の意味でもあった。
 その孤独には甘い味が付いていた。真壱には帰る家がある。そこには優しい母が居て、真面目で厳しい父と無邪気で無垢な妹が一人居る。平凡だが幸福な家だ。また、彼には帰る学び舎があり一つの学生番号が付けられていた。平凡だが堅実な大学でありその一学生に他ならなかった。彼の身は確かに安全地帯に置かれているようであり、そんな自由を愉しんでいるに違いなかった。その中で「宇宙の法則」や「生きる意味」がそのうち分かる気がして、とりあえずその答の手がかりは、己の存在、己の才能に他ならなかった。
 彼は「真壱」という自分の名前を気に入っていた。真実は一つと信じて疑いはなく、それを求めるのが好きだった。しかし、そうするほどに理想と現実の隔たりに気付くのは自明でそれは自然の成り行きだった。彼はじつはこの春に図らずも留年していた。それは彼にとって人生初めての躓きだった。道の先の信号にまるで黄色が灯ったようだ。しかし、その事でその想いはより研ぎ澄まされることになった。

「いいのが撮れた。バッチリ」
 瞼の裏に今日撮った花の写真を順を追って投写してみた。「これはまあまあ」「これは傑作」とか呟きながら。しかし、やはり最後に写し出された映像は、彼女の顔だった。目を閉じたまま無意識に微笑んでいた。
「やっぱりこれがいちばん奇麗さ」
 突然、「帰ろっと」と言うと同時に目を明けて立ち上がった。背中を伸ばして思い切り両手を突き上げると、その上には、さきほどの空が大きく大きく広がっていた。

 真壱が長野行きのバスに乗ったのは、午後四時ちょうど位だった。日没にはまだだいぶ間があった。今日のような日帰りの撮影行の場合、いつもなら暗くなるまで現場に居る彼だった。それこそ、ファインダーにいくら目をこらしてもピント合わせが出来ないほどになるまでだ。「見えない。もうだめ。終り」という具合である。
 今日は違った。早く着いて、そのうえ撮影がはかどったせいもあるが、それだけではなかった。「会いたい」という情熱か。たしかにそうかもしれない。しかし彼の場合、それ自体そう単純なものではなかった。明るいうちに電車に乗りたかった。遠ざかる信州の風景をながめながら、ゆったりと列車に揺られたかった。揺られながら情熱を噛み締めたかった。それは、心のなかの或る一つの決意がたんなる衝動ではないことを確かめるために必要な時間に他ならなかった。
 衝動は軽率と同意語だと思う彼だった。
 噛み締めているうちに消えるような情熱ではだめなんだと、そう思う彼だった。

 愛知中央工業大学ー名古屋市の郊外、地下鉄の終点藤が岡から直通バスで二十分ほどのところ。住宅地から離れた丘陵の広大な敷地にその白亜の大学は佇んでいた。無数の雑木林を抱えたこんもりとした山々に囲まれて、すっかり自然に溶け込んでいるようでもある。 創立七年とまだ新しく、偏差値もまだ安定しないような、ほとんど無名に近い私立大学である。三流かというと、その言葉は相応しくもなく、堅実な学風が評判を呼んでいて、まあ二流といったところだろうか。偏差値もたしかに上がりつつある。しかし、そういうこととはあたかも全く関係がないかのように、なんとも長閑なたたずまいであることか。  とくに今日は、風もなく、周りの緑の匂いがキャンパスじゅうに立ちこめていて、静けさたるや正にこの世の別天地たる雰囲気だ。ここが真壱の学び舎だった。
「ピー、ヒョロロロロロロ」
 その上の青空で、一羽の鳶が、まるで守り神であるかのように大きくゆっくりと旋回を繰り返している。
「キロンコローン、カロンコローン、コロンカローン、キロンコローン」
 突然だがまったく自然な感じで、ゆったりとしたチャイムが辺りに鳴り響いた。もちろん小鳥一羽驚かない。暫くすると、出てくる出てくる学生たち。確かにここは学園だった。 『経営工学科』に真壱は在籍していた。製造業における生産管理や人事管理など、つまり工業経営に関する学問を専門に学ぶ学科である。この科のある大学は全国でも数少ない。なぜか人気のない学科であり、倍率もそれぞれの学内で一番低い。工業高校の三年の時に急に進学を思いつき、推薦入学で滑りこんだ彼だった。社会に出る前にもう少し時間が欲しかった。自分を見つめる時間、いや、見いだす時間が欲しかったのだ。そういう意味では充分だった。充分すぎる学び舎だった。
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