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<シナリオ>この空の青さは  「ストーリー」

五月の半ばになってやっと春らしくなった信州の自然公園。
野鳥の囀りに混じって「カシー、カシー」というカメラの軽快なシャッター音が静かな森に響きわたる。

そこには、腹這いにまでなって、まるで対話をするように顔を寄せて小さな花の写真を撮る青年の姿が。
可憐なカタクリの花を見つめているうちに、ある熱い思いが心の中にこみ上げてきた。
「明日、彼女に会いに行こう。そして今度こそ・・」
大学のキャンパスに戻っても、その強い思いは衰えず、足取りは、そのまま一直線に彼女のもとへ。

留年仲間の気のいい友の励ましもあって、足元に絡みつく一抹の不安など物ともせずその勢いはたいしたものだ。
一抹の不安-それは、自分が二流大学の落ちこぼれだという劣等感か。いや、それよりも、先輩が唱える極めて悲観的な恋愛論だ。
なんとなく好きというのがベストで、本気で好きだということを確認し合って始まる恋愛などまず有り得ない、という「日本的恋愛論」。

いったい何ていう話だ。そんなことが有ってたまるものか。じつは青年は、今日こそ彼女が本物の相手だということを確かめるために彼女に会いに行くのだから。そして、全てが始まるのだ。それが「自然」というものだ、と。

去年の冬休みのアルバイトで出会ったっ彼女。二人のインスピレーションは確かなものだった。
しかし、どうして・・。青年が手をさしのべたとき、その恋は終わりを告げたのだった。
先輩の言う恋愛論が正しいとでもいうのだろうか。いや違う。野暮な邪魔が入ったし、アプローチにも問題が。例外もあるさ。その証拠に・・・
水曜日の午後四時ちょうど。毎週毎週、同じ曜日の同じ時間。女子大の通学路。広場のベンチ。彼女がそこを通って、青年がそれを見ている。そして、彼女も・・。それは、もう何週間も続いている幸福な時間。だけど、このままでいい筈はない。だから、今日。

「真っ白な陶磁器をながめては飽きもせず。かといって触れもせず」・・まるであの歌のように、しかし今日も一日が過ぎるのだった。
そこには、誰もが直面せざるを得ない「日本的恋愛の壁」があるのだと、先輩は言う、
いったいどういうことなんだ・・。先輩が放課後の黒板に大きく書いた「曖昧」という言葉。これが壁の正体だという。・・じゃあ、どうして・・。
「日本的自我」-そしてもう一つ投げかけられた新しい言葉。そして、本物の恋愛、本物の自我とは・・。
友人と議論するうちに、日毎に信憑性を増していく先輩の話。まるで大きな壁の中を走り回るように、青年の彷徨は続く。

彼の憧れはもう一人、新進気鋭の自然写真家、木原和人。一匹狼と異名をとる彼の存在が、何故か青年にとって眩しいほどに輝いたものだった。
ある日、信州の高原で、偶然にも彼に出会った青年。ひと時の眩しい会話。「俺は曖昧なものが嫌いなんだ。いい加減が好かれる時代には、嫌われてナンボさ」・・憧れは本物だった。
何故か、彼女への思いが花園の中で燃え上がる。
新たな決心を抱いて、彼女の元へ・・。「本物は所詮少ないものさ。日本的も糞もあるものか」二人が本物だということを信じて、今度こそ決着の日を決める青年。

自我と自我の触れ合い、それが恋愛というもので、その時にこそ自我の本質が試されるのだと言う先輩。本物になれる確立は千分の一だとも・・・。
それにしても、この空の青さはどうだ。
あたかも運命を見守るかのように、二羽の鳶がその日も悠然と青空高く飛行していた。
そして・・・。
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