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この空の青さは③

〇大学の広場(ベンチの二人)
   突然思い付いたような顔をして、青年の方を向き、大声で
友人「オイッ。喜べっ。彼女は本物だぞっ。お前の本物の、相手だっ!。」
   冷静な感じで微笑む青年。
青年「いまさら何だよ。俺が。誰よりも。いちばん。わかってる。」
   拍子抜けて、細かく頷く友人。
友人「それにしても、金持ちの御ぼっちゃまが、なんであんなバイトに来るかねえ。」
青年「御酔狂さ。ハゼ釣りなんだ。」
友人「ハゼって、つまり、ダボハゼ。バカでも釣れる・・」
青年「俺は或る日とんでもない話を聞いた」
友人「えっ、何。聞いてないぜ。」
                                 (WIPE)
○回想(流通センタ-内(男子トイレ))
   休憩時間で混み合っているトイレに入っ行く青年。
   どの便器にも列ができていて、三人程の順番に付く青年。
   すると前の男が隣の男に話かける。
学生A「ヨオッ。また来てんのか。」
学生B「オオッ。お前こそ。」
学生A「そりゃあ来るさ。どうだ、今度って 可愛い子多くないか。」
学生B「(細かく頷き)当たり年かもね。」   と言って含み笑いを交わす。
学生A「なにしろ、ここじゃ、餌なしで釣り たい放題さ。」
学生B「まるっきりハゼ釣りだ。」
学生A「言えてる言えてる。できれば大漁ブ ネで帰りたいもんだ。」 
学生B「ハハハッ。お前には負けるわ。」
   順番が来て用をたす二人。
学生B「俺はしっかりと一本釣りだ。キャッ チアンドリリ-スでさ。」
   頷きながら首を伸ばして覗き込み
学生A「ヘエ-ッ。それで何が釣れるの。」
   身体で隠すようにして
学生B「だからハゼ。なるべく大きいのを」
   と言って覗き返したあと
 「お前はメダカでも掬って一杯持ってけ」
   と言い合いして笑い合う。
   無表情で固まったような青年の横顔。
   そのままで突然クルッとこちらを向く。           (WIPE)

〇大学の広場  
   ふたたびベンチの二人
友人「くそっ。ぶん殴ってやりてえなあっ、そんな奴ら。なんてえこった。蹴飛ばすく
 らいはしてやったんだろうなあ。」
青年「ははっ。出来るかよ。足くらい踏んづけてやりたいとは思ったけどね。」
友人「俺ならやってたな。キュッてな。」
青年「だけど、一概には否定できないからな。そういう生き方もあるってことさ。」
  「ただ、相手を間違えてもらっちゃ困る。それだけの事だ。」
友人「へーえ、寛大なんだなあ。」
   ここぞとばかりに手振りを付けて
青年「その心、アルプスの如く気高く、泉の如く清く、湖の如く深し。」
友人「何だそれ。誰が言った。誰の事。」
青年「(屈託なく)俺が言った、俺の事。」
   感心した様な顔の後、パンと膝を叩き
友人「お前は彼女を幸せに出来る。それに、彼女はハゼでもメダカでもないっ。」
  「彼女はお前のものだっ。」
青年「(一寸ニッコリして)うれしいねえ。決めてくれちゃって。だけど、何も決ま
 ちゃあいないんだなこれが。」
友人「決めるんだよ。飛んで行ってでも。」
青年「どうやって。俺はス-パ-マンでも何でもないんだぞ。二流大学の、それも落ち
 こぼれだ。・・・ス-パ-マンに変身したいよ。」
友人「ボロは着てても心は錦だ。お前自分で言ったじゃないか。本質と本質が引き合っ
 たって。・・だから意味が有るんだろ。・・だから価値が有るんじゃなのいか?」
青年「それにス-パ-マンだって、SOSが聞こえて初めて飛んで行けるんだ。」
友人「でも、そう言えばあの時、結局お前、とりあえず飛んで行ったじゃないか。」
青年「ああ。行った。行ったさ・・・」
友人「聞こえたんだろ。SOSが。」
青年「ああ。聞こえた。・・・いや、と思った。」
                                 (WIPE)
〇回想(デパ-ト社員通用口(夜))
   勤務明けの女子アルバイトがゾロゾロ
   と出口から出てきている。
   それを、少し離れた所から、遠目に見つめている二人の後ろ姿。
友人の声「バイトも大詰めの頃、本店勤務っ て分かって、俺も気になっちゃって、
 それで二人で、とりあえず行ってみたら…」
   友達と二人で出てくる彼女。
   すると、待っていた二人の学生風の男が近づいて声をかけ、そのまま横に付いて
   並んで歩い
   て行く。思わず顔を見合わす友人と青年。
   暫し呆然とする二人だが、気を取り直して、どちらからともなく後を追う。
   奇麗な街のクリスマスの明かり。
   どことなく楽しげに見える四人の後ろ姿と、後に続く悲観的な二人。
友人の声「正直言って俺、あん時諦めたよ。 彼女のことダボハゼだと思った。」
   急に立ち止まって帰り出す友人。
しかし青年がその腕を取り引き戻す。
   また等距離で後を追う二人。
青年の声「世の中には、諦めていい事と、わるい事が、あるんだ。」
   暫くすると立ち止まる四人。
   ハッとして立ち止まる二人。
   向かい合って談笑しているが、よく見ると、何かを必死に断っている様子。
   最後に謝る様にお辞儀をして、潔い感じで男達を置き去りにする。
   唖然と見ていた二人だが、友人の小さなガッツポ-ズと、強く微笑む青年。
   今度は友人の方が青年の腕を引っ張り二人の後を追おうとする。
   置き去りの男達。一人がその場でタバコに火を付けるが、すぐに下に投げ
   つけて、踏みつけながら、盛んに首を傾げたりしている。
   その横をス-ッと通り過ぎる二人。
友人の声「なんて素晴らしい風景だ。」
青年の声「泥水を弾くが如くさ。」
   いつの間にか地下街を歩いている二人と二人。人混みのなか少し距離を置い
   て彼女達の背中を見ている。
友人の声「なんだか良い眺めでさ、そのままでズ-ッと歩いていたかった。」
青年の声「正直言って俺もそう。」
   薬局やブティックなどに少しずつ立ち寄る彼女達。
   その度に足を止めて、戸惑う様子の二人。
友人の声「なんだかスト-カ-やってるみたいで、ちょっと気が引けてきちゃった。」
青年の声「バカ。そんな物と一緒にするな」
友人の声「だけど、二人してここで声かけて、さっきのあの二人と何処が違うかだとか。
 同じように返し刀でついでに斬られちゃう様で・・・」
青年の声「お見事って感じだもんな。一緒にされちゃ困ることは確かだ。」
友人の声「結局、今日が最後かもしれないっ てことで、なんとかする事にした。」
   二人の前を行く彼女達、三叉路の所で立ち止まり、手を振って分かれる。
   同じく立ち止まって、顔を見合わせたりして極端に戸惑う様子の二人。
友人の声「どおするどおするって。兎に角、咄嗟の事だからな。だけどお前・・・」
   突然ポンと肩を叩いて、サッと手を振り、友人を置き去りにする青年。
   そのまま彼女の後を追う。
   唖然としてそれを見送る友人。
青年の声「ああ。行ったさ・・・。」
   彼女の後を追って行く青年の後ろ姿。
   しだいに人混みの中へと消える。
                                (WIPE)
〇大学の広場
   ベンチの二人
友人「俺あん時、感心したよ。お前ってやる 時ゃやるんだなって。一人で。よく行
ったよ。俺なんかとても・・・」
青年「一人だから意味があるんだ。」
友人「ふ-む・・・」
青年「使命を感じたんだ。」
友人「彼女のSOS。」
青年「いや。それよりも。何か、別の、もっと、大きいもの。」
友人「何、それ。」、
青年「・・・じつは、わかんない。」
友人「(ズッコケて)なんだよう。何かスゴ イ事かと思った。」
青年「ハハッ。結構そうだったりして。」
友人「先輩が解かりそうな事だなこりゃ‥。すごい大袈裟な話になるんだから。」
   笑って細かく頷く青年。
友人「それにしても、あの時俺、もう、ヤッタ-って感じで。メデタシメデタシって。
 喫茶店で祝杯あげてた。コ-ヒ-で・・。そうしたら、お前が・・・」
                                (WIPE)
〇回想)地下街の喫茶店
   時々思い出し笑いでニヤケながら、コ-ヒ-片手に外の人の流れをボンヤリと
   眺めている友人。
   すると間も無くして、どことなく元気の無い風の歩き方の青年が、独りでそこ
   を通り掛かる。
   それを見付けた友人、身を起こし一瞬様子を伺い、首を傾げる。
   少し考えた後、コ-ヒ-を飲み干して急いで伝票を取り席を立つ。
   飛び出して後を追うが、見失った様に立ち止まり、遠くを見て大きく首を傾げる。
                                 (WIPE)
〇大学の広場
   ベンチの二人
青年「どう見えた?。」
友人「ハッピ-には見えなかった。」
   頷く青年。
友人「落ち込んでた。」
青年「そうかなあ…。考え込んでたんだよ。 どういうことなんだろうって。」
友人「どうだったんだよ。肝心な所だぞ。」 
  「俺は見てないんだから。本当のところ、どうだったんだ。」
青年「予想とは違ってた。」
友人「どんな予想?」
青年「まったく自然な予想さ・・・」
友人「だから…。」
青年「近づけば、ただそれだけで、すべてが 始まるだろうと。」
  「本当にそう思った・・」
                               (WIPE)
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